建築士の働き方
建築士の主な働き方は、正社員または独立している経営者です。一方、家庭の都合などにより派遣社員やアルバイトとして働いている建築士も中にはいます。そんな建築士の雇用形態の違い、メリット・デメリットについてまとめました。
建築士の働き方
正社員
近年では、建築士が不足しているといわれています。建築士業界全体としては活況である一方、労働時間の長さや労働が過酷であることが不足の原因です。正社員の雇用に積極的な会社も多く、建築士の資格の有無や学歴を問わないというところも増えています。
会社によっては入社後の社員に建築士の資格取得を支援する制度を設けているところもあり、未経験者でも大幅なステップアップが期待できるのが魅力です。しかし、ゼネコンや大手設計事務所では二級建築士資格が必須であることに加え、学歴を求められるケースもあります。勤務先によって正社員の難易度は差があるといえるでしょう。
正社員の待遇面ですが、勤める会社によっても違いますし、保有している資格によっても変わってくるため一概にはいえません。大手の設計事務所やゼネコンでは高い年収を得ている人もいますが、小さな設計事務所で満足のいく給料ではない人もいると考えられます。
正社員のメリット
正社員のメリットとしては雇用形態が安定しており、賞与や保証があることが挙げられます。ですが担う責任の重さや労働時間などを加味すると、人によっては必ずしも良いとは限らないでしょう。
派遣社員
派遣社員として大手設計事務所で働く人は年々増えてきています。専門的に建築業界へ派遣を行う派遣会社も存在している程です。仕事内容としては設計業務の中でも一部の分野に特化して行うものが多いため、実務経験のある人が多いのが特徴といえるでしょう。
正社員よりも年齢制限は緩いという反面、これまでの実績や経験が見られることが多く、未経験者は少し雇用されにくいかもしれません。
派遣社員のメリット
派遣社員の給料はほとんどが時給制で、相場は1500〜2000円とされています。一級建築士や二級建築士の資格を持っていれば、時給3000円を超えることもあるでしょう。正社員と違い、雇用期間が設けられているのが派遣社員の特徴です。期間は勤務先によって違い、数年単位で雇用されることもあれば1〜2ヶ月と短期のところもあります。自分のタイミングや都合に合わせて働き先を選べるのがメリットです。
正社員と違い不安定であることがデメリットで、賞与や保証、退職金はほとんどの場合ありません。勤務先によっては後に正社員として雇ってもらえる制度もあるので、自身の能力次第でチャンスを広げることも可能です。
アルバイト・パート
手がける案件が大きく、作業量の多いゼネコンや大手建設事務所ではアルバイトやパートを募集して、人員を確保することが頻回にあります。仕事としては実際に図面を書くというよりは、建築士の補助や簡単な事務作業などが主な仕事です。比較的簡単な作業が多いので未経験者でも採用されやすく、パソコンが使えればOKという企業も多くあります。待遇面は個人のスキルや経験によって幅がありますが、時給1200〜2000円前後が相場です。
アルバイトやパートは働く時間や休みが調整しやすいのがメリットなので、自分の時間を有効に使うことができるでしょう。反面、働いた分しか給料をもらえない、正社員のような保証や賞与がないというのがデメリットとなります。
フリーランス
建築士として豊富なキャリアを積んだ人の中には、フリーランスとして自分の設計事務所を経営している人もいます。独立して上手く軌道に乗ることができれば、正社員よりも大幅な給料アップが望めるでしょう。
ですがその道のりは決して簡単ではなく、会社時代のコネクションをいかに持てるか、案件を継続的に受注できるかが重要となります。また建築士のスキルだけでなく、
- 営業力
- 企画力
- 経営の知識
- 組織を束ねる統率力
なども必要です。
一度独立して自分の事務所を開業したとしても、経営が上手くいかずに廃業してしまい再び会社雇用に戻る建築士もいます。自分の力でチャンスを広げられるのが魅力ですが、それなりのリスクが伴うことも頭に入れておきましょう。
副業・在宅
近年では副業を始める建築士が増えてきています。業務内容としては在宅にてCAD図面の修正やトレース、パース作成、リフォームプラン作成などがあり、幅広い案件があるのが特徴です。案件はインターネットを通じたクラウドソーシングを利用することで見つけることができ、簡単に始めやすいのがメリットになります。
単価は作業内容によって幅がありますが、1〜10万円が相場です。自宅の隙間時間で作業を行うことができるので、時間をコントロールして効率よくできれば副業だけで十分な収入を得ることも可能でしょう。
建築士への就職で見ておくべきポイント
募集背景
同じ職種だとしても、企業によって扱う案件や規模は異なります。募集している社員にどの程度のレベルを求めているのかは把握しておきたいものです。新規事業に伴う募集であれば、いきなり大きな仕事を任されることもなく、会社の業務に慣れる余裕が持ちやすいでしょう。
一方、欠員募集の場合は前に務めていた社員の穴埋めとなるため、引き継ぎ仕事となり即戦力として期待されることが考えられます。
どちらが良いか、募集背景から自分に合った方を選びましょう。
働き方の柔軟性
募集要項には有給休暇や産休育休、フレックス導入など書かれていたとしても、実際に使いやすい環境であるとは限りません。事前に働き方に重要な対応をしてくれるのかどうかをチェックしておくことも大切です。社員のための制度を導入していたとしても、それを実際に活用していない会社は社員に対して優しくないことも少なくありません。入社後に後悔しないようにも、チェックすべき重要な項目となります。
福利厚生
条件面では給料に目が行きがちですが、家族手当、役職手当など福利厚生も重要なポイントとなります。福利厚生が手厚い会社は社員に対して長く勤めてもらいたいという姿勢であることが多く、働きやすい傾向にあるのがメリットです。転職を成功させるためにも、福利厚生もしっかりとチェックするようにしましょう。
企業によってはネットに口コミがあるので、働いている人の声を参考にするのもおすすめです。一方、ウソの情報が書かれている可能性もゼロではありません。ウソの情報に振り回されないためにも、実際に応募して説明を受けてみることも大切です。口コミ以外にもホームページやSNSなど、情報はチェックしておくようにしましょう。