試験に出てくる建築史
建築史とは
建築史とは、学科試験「建築計画」の中の5分野「計画各論・建築史・都市計画・環境工学・建築設備」に含まれる科目(一級建築士試験であれば「計画」に含まれる)で、苦手な人が多いといわれているのが特徴です。単純な知識量を問う問題が多いため、暗記科目と捉えられています。建築の歴史、実例、設計者のほか、提唱者など知識量を問われる問題が多くあります。
例えば、古代ローマの建築様式や江戸時代の日本の建築物、さらには海外の建築家の都市計画概念、近代の実例建築物などその範囲は膨大です。様々な時代の建築物を覚える必要があり、建物が建てられた順番やそれに関連する人物、さらにそれに関連する出来事についても覚える必要があります。
建築史の勉強方法
建築史は、膨大な量を暗記するとなると時間がいくらあっても足りないと感じるでしょう。そのため、満点を取ることが難しく上位者・下位者の得点差がつきにくいという特徴を持っています。建築史の対策に重きを置いてしまうと、他の科目が疎かになってしまう危険があります。
しかし、計画の1問目と2問目には日本の建築士と世界の建築士については毎年のように出題されるため、1問目から解けないと後の問題に焦ってしまうのも事実です。
また、建築物について年代順で暗記していれば解けるというわけではなく、ほとんどの試験が建築と代表的な建築物の組み合わせを問われる問題となるため、この組み合わせを把握しておく必要があります。
しかし、建築史の設問については試験全体に対する割合が大きくないため、勉強方法は建築史の流れをざっくり掴んでおき、過去問をみて出題されたことのある建築物を中心に把握することが重要なポイントです。
合格者の中には、過去問に出題された事例について徹底的に覚えた結果、「建築史は過去問を理解していれば解答できる」と感じている人が多いようです。建築史の勉強は必要最低限に抑え、過去問だけは必ず暗記するという勉強方法を取るとよいでしょう。
建築史試験での出題割合
一級建築士の学科試験は、5科目計125問の4肢択一試験です。二級建築士の学科試験は、4科目計100問となります。
建築史試験の出題割合は、学科試験全体で見てみると多くありませんが、年度によってバラつきがあります。例えば、2019年の一級建築士試験では、建築史の出題数は6問。2018年は、4問。2017年は7問と、建築史の問題が5問以上出題されている年もあります。
5問以下の出題数の年度もありますが、建築史を丸ごと捨てるとなると大変リスクがあることが分かります。「建築史は5問は出題される」と覚悟しておいた方がよさそうです。
足切りに注意
建築史試験は科目ごとに「足切り」のラインが設定されています。例え総合点が上回っていても、1科目でもラインを下回ってしまうと、不合格となります。つまり、学科試験に合格するには1科目も落とすことができないと覚えておきましょう。
例えば、「建築計画」の出題数は一級建築士で25問。二級建築士で20問です。それぞれの基準点は11点と13点(基準点は試験の難易度で変わる場合もあり)。つまり、この点数未満であれば足切りとなります。基準点を見ると5割超の正答率で足切りは回避できますが、受験年度によって建築史の出題数は変わるため、建築史をまるごと捨てるとなるとそれ以外の問題の正答率を上げなければなりません。
建築史の試験対策は、足切りされないレベルを目指すことが大切です。満点を取ろうとするとキリがないため、足切り回避のために例えば建築史が5問出題されたら2問は正答するという目標をもつといいでしょう。この科目は、過去問題と似た問題が出題される傾向があるため、過去問題をくり返し解き、基本をしっかり身に付け足切りを回避しましょう。