未経験の40代が建築士を目指す方法
建築に関係のない仕事をしているなら、建築士を目指すとしても未経験からのスタートとなります。40代であるなら「年齢の問題から無理なのでは?」「未経験だと難しいのでは?」と考える方もいるでしょう。このページでは、未経験の40代が建築士を目指すことができるのか、また建築士になるために知っておきたい3つのポイントをご紹介します。
40代の未経験から建築士になれるのか?
40代の未経験の方が建築士を目指すのは、簡単ではありません。建築士の資格試験を受験するために、学歴と実務経験の両方が求められるからです。大学や短大などで建築関係の科目を履修していないなら、二級建築士試験を受けるために、実務経験を7年積むか、学校に行く必要があります。
2020年に国土交通省が建築士制度の見直しをしており、改正前には実務経験が受験要件だったのに対して、改正後には実務経験は免許登録要件になりました。拡大する建築士の需要を満たすために、受験要件が改正されており、優れた人材を確保するために条件の見直しが行われています。
2020年3月1日以前に行っていた従事経験は、実務経験としてカウントされません。あくまでも2020年3月1日以降に行われた実務経験がカウントされます。特に、一級建築士になるための条件が緩和されているのがポイントです。改正によって、40代からでも資格取得の機会が広がる改正になりました。40代から建築士を目指したいと思っている方にとって、チャンスとなるでしょう。
未経験から建築士を目指すときに知っておきたい3つのポイント
未経験から建築士を目指す際に、知っておくとよい3つのポイントをご紹介します。40代からチャレンジしたいと思っておられるなら、ポイントを参考に今後の計画を立ててみるとよいでしょう。
心構えを持つ
40代であっても未経験から建築士を目指すことは可能です。しかし未経験であっても、完全な未経験である場合と、業務未経験に分けられます。
完全な未経験は、建築の知識が全くなく、建築業界で働いたこともないほどの人のことです。業務未経験の場合には、建築系の学校で学んだことがあったり、資格を取得したりしたことがあるが実務経験がないという人を言います。
40代の方が建築士を目指すには、知識と技術を身に付ける必要があるので強い覚悟が必要です。建築業界で働くだけであれば、設計や工事監理などの業務が行えますが、建築士には最低でも二級建築士の資格が必要です。
簡単ではない道のりになるので、建築士になりたいと思っているなら、早めに行動しておくとよいでしょう。建築士を目指すと決めたなら、いつから行動に移すのか決断力も必要です。
給料の目安を知る
建築士の資格を取得した場合には、おおよそ20万円から25万円ほどが目安となります。設計や工事監理の経験を重ねてスキルアップするなら、年収が上がっていくこともあります。もしくは一級建築士まで資格を取得できるなら、仕事の幅が広がり、収入もアップさせることができるでしょう。
一級建築士の平均は600万円台です。日本人の平均年収は410万円ほどといわれているので、一級建築士の600万円台というのは、大幅に上回っています。一級建築士まで取得すると、平均年収も狙えるでしょう。
もちろん、未経験から建築士として働き始めたときには、それほど高くない給料になると考えられます。建築士を目指すと決めたなら、経験を積み重ねられるよう行動しましょう。
建築士の将来
建築士の資格を受験する人は減少傾向にあり、業界として深刻な人材不足になっているのが現状です。建築士と登録している人の年齢は高くなっているので、若手であれば希少価値が高くなります。技術者を欲している企業であれば、求人で募集をしており、未経験でも歓迎しているケースもあるほどです。建築士は登録している人の半数が50代以上を占めており、建設業界でも高齢化が問題とされています。建築士の需要はこれまで以上に高くなるでしょう。
建物老朽化が進んでいることから、不動産を有効活用するために建築士の知識と技術が必要です。家を解体するときでも安全に解体するために、専門の知識を持っている建築士が不可欠となります。土地に新しいマンションを建てるとしても、安全に効率よく建設するために建築士の存在は必須です。
建築士の需要は増加していますが、現場で働くためにはやはり必要な経験を積まなければなりません。将来性がある仕事を自分の職業にできるように、覚悟を決めたなら早く行動することが求められるでしょう。
建築士に必要な条件
建築士の受験をするには、学歴要件と実務経験の条件を満たしていなければいけません。40代から未経験で建築士を目指すのであれば、まずは自身の学歴を確認しましょう。学歴に応じて、実務経験を満たしていくことが大切です。
【大卒・短大卒・高専卒】
- 指定科目の履修して卒業していれば、実務経験を積まずに受験が可能
- 建築関係の学校を卒業していない場合、7年の実務経験が必要
【高卒・中卒】
- 指定科目の履修をしている場合、3年の実務経験が必要
- 建築関係の学校を卒業していないなら、7年の実務経験が必要
上記からも分かるように、未経験でも履修の有無によって実務経験の必要年数が異なります。もし建築系の学校を卒業していないなら、7年の実務経験が必要になるので、早い段階から行動しなければいけません。
未経験から建築士を目指す方法
建築関係の学校を卒業していないなら、実務経験を積むか、学校に通うかの2つの選択肢に分けられます。
設計事務所で実務経験を積む
設計事務所などで働いて、受験に必要な経験を積むという方法になります。実践力が身に付く方法ですが、受験資格を得るためには7年の時間が必要なことがポイントです。実務経験を積み重ねて、建築士として資格を取得しても、給料は高くないことが予想されます。経験が大切な建築業界で生き残るためには、早めの行動が大切です。
働きながら学校に通う
働きながら学校に通うことによっても、受験資格を得られます。専門学校であれば、実務経験は最短で2年になるので大幅に実務経験の年数を減らせるのがメリットです。学校には夜間受講ができるところもあるので、働きながら資格取得したい方も通学できるでしょう。
選択肢に入るのは、夜間の専門学校、夜間の建築学科がある大学、通信制の建築学科のある大学です。時間が必要になることや働きながらの通学では努力が求められますが、実務経験の年数が短くなるので、建築士に近づくための方法といえるでしょう。
専門学校と大学のどちらにするかは、状況や条件に合わせて選択できます。
建築士を目指すのに年齢制限はあるの?
建築士は実務経験が必要になることから、何歳でも建築士を目指せるとはいっても若い年齢が有利であることには変わりありません。条件を選ばないのであれば、40代でも設計事務所に就職することはできます。
契約社員やアルバイトで設計事務所に勤めることも可能です。経験を積み重ねることで、建築士の資格を取得して転職することも視野に入れられるでしょう。建築士の資格を取得できたのであれば、正社員になれる確率も向上します。
もちろん正社員までの道のりには、建築士の受験資格を取得するまでの道のり、建築士の受験に合格するまでの道のりを超えなければいけません。経験が求められる仕事なので、早めの行動は不可欠です。具体的な目標を定めて行動することをおすすめします。