どんな仕事があるのか?
建築業界には、どういった仕事があるのか具体的に紹介していきます。
職種によって役割はさまざま
建築業界で働きたいと考えるなら、どんな職業があるのか押さえておくことが重要。ひと口に建築業といっても一般には知られていない、けれどもとても重要な役割を果たす職種が数多くあるのです。
建設現場で実際の工事を管理・監督する仕事からこれからつくる家の内装を提案する仕事まで、多種多様な建築関連の職業を見ていきましょう。
種類と仕事内容
建築業界における職種の名称と、その内容を紹介します。
建築士
建築士は依頼主から家族構成や希望する間取り、好みのデザインなどを詳しくヒアリングします。それらを反映させた設計をし、工事現場で監督作業まで行います。依頼主の理想を、責任もって建築物という形に仕上げる職種だと言えそうです。
設計から現場まで幅広い作業工程に携わる分、模型製作や製図、建築基準法などについて多様な知識とスキルが必要になります。
依頼主の要望を深く聞き出し、的確に形にしていくためにはコミュニケーション能力も欠かせません。
建築士のやりがい
建築の仕事は、数日程度で終わるものではありません。時には長期的に取り組むことも珍しくないので、達成感は大きなものがあります。困難であればあるほど、完成した時の喜びは大きなものになるでしょう。建築士の仕事は一人で黙々と行うものではなく、時には大人数でのプロジェクトになることもあります。
自分が携わった仕事が、後々まで残る点も建築士のやりがいです。大きな建物はもちろんですが、一般家庭の住居であれ、その後何十年と残ることになります。ネットの地図に表示されたり、個性的な建物であればSNSで話題を集めることもあるでしょう。自分が携わった建物がそのような形で注目を集めることは、決して嫌な気持ちにはならないはずです。
GoogleMAPのように様々な場所を確認できるコンテンツもありますが、自分が携わった建物が誰もが確認できる形で残せるのは、喜びも大きなものになるでしょう。
建築士の将来性
安定感がある点も、建築士の魅力です。まず、建築の仕事は人間がいる以上、なくならないものであると考えられています。家や建物は、人がいる限り需要があるものです。さらには国内で少子高齢化の加速によって、労働者人口が減少しています。今後も仕事が見込める業界でありながら、人手不足が顕著となっている状況は、将来性があるという見方もできるでしょう。
一方、娯楽的なものに関しては、需要は安定しません。流行もありますし、消費意欲・傾向によって左右されるのが理由です。住居に関しては人間の生活の根幹をなす部分なので、「服は欲しいけど家はいらないからの外で生活する」という人は中々いないのではないでしょうか。
建築士の仕事は、人間の生活の根幹を支えるものです。仕事がなくなることは考えにくい点に加え、建て替えの需要もあることを踏まえると、建築士の将来性は安定感に溢れていると考えて良いでしょう。
また、国内は今後、新しい需要だけではなく「メンテナンス需要」が続々と控えています。高度経済成長期に建てた建築物のメンテナンス時期が迫っているためです。建て替えるものもあれば、補修作業を行うものもあります。これらに関してもまた、建築士の力が求められるものもあるはずです。新しい需要もあればメンテナンスの必要もあるなど、建築士の仕事は今後、さらに増えていくことが予想されています。
建築士の大変なところ
やりいがいもあれば安定性もある建築士の仕事ですが、大変なこともあります。まず、建築士の仕事は一人で頑張って何とかなる物ではありません。チームプレイになるので、協調性が必須です。依頼主とのコミュニケーションはもちろんですが、現場作業員のコミュニケーションもまた、大切にしなければいけません。
自分のやりたいことだけではなく、依頼主の意向に沿った仕事が求められるので、コミュニケーションが円滑にいくかどうかも建築士の腕の見せ所です。互いの状況を俯瞰して見れる依頼主もいれば、頑固な依頼主もいるでしょう。正論では納得してくれない場合には、感情論に訴えかける状況もあるかもしれないと考えておきましょう。
また、自分の思い通りにいかないことも多々あります。人為的なものもあれば、致し方ない点もあるのはどの仕事も同じです。特に天気はどうにもできません。雨天時には思うような作業ができなくなりますし、特に梅雨の季節に入ると作業困難な日が続くと考えられます。誰のせいでもなく、作業ができない日々が続くと、工期に間に合うのか不安も出てくるでしょう。
天気以外にも資材の調達が遅れたり、人員手配が思うようにいかないなどの理由で、苦労する理由は多々あるかもしれません。自分自身のミスであれば改めることもできますが、誰のせいでもなく作業が遅延し、思うようにいかないことも多いので、忍耐力が求められる仕事でもあります。その点もまた、建築士の大変な部分です。
インテリアコーディネーター
内装に関する仕事です。
依頼主が新しく家を建てたり、リフォームする際に内装について要望に合わせた的確なアドバイスをしたりします。
人が生活する空間をデザインするので、色彩や明暗のつけ方など、知識とセンスが問われる仕事と言えるでしょう。
インテリアコーディネーターのやりがい
自分のセンスを発揮できる点が、インテリアコーディネーターの大きなやりがいです。インテリアコーディネーターの仕事は、知識・センスが問われます。つまりは、「唯一無二」の空間を作り出せる仕事です。自分自身のセンス・個性を武器に仕事ができるインテリアコーディネーターは、やりがいも多くあるでしょう。自分自身のアドバイスを、お客がどのように解釈するかはそれぞれ異なるにせよ、センスや個性を他人にアドバイスして満足してもらえるのは大きなやりがいにつながるでしょう。
また、インテリアコーディネーターは他の業務と兼任することも可能です。例えば設計士がインテリアコーディネーター資格を取得することで、内外装共に自分のこだわりを形にできます。インテリアコーディネーターは民間資格ではありますが、資格を取得することで様々な知識が身に着き、仕事に幅を持たせてくれることから、「現在の仕事のやりがい」を高めてくれることにもなるでしょう。
インテリアコーディネーターの将来性
インテリアコーディネーターの仕事である「内装」は、建設の需要と同様、なくなるものではないでしょう。マイホームに関して、こだわりを持つ人が増えています。「理想を形にしたい」「他の人と同じではなく、個性を出したい」等々、内装ニーズも多様化しているのがポイントです。こだわりに需要があるので、インテリアコーディネーターの出番は増えていくと考えられます。
均一化が求められていた時代では、インテリアコーディネーターの役割は決して多くはありませんでした。しかし、個性や唯一無二が求められる時代が到来すると、インテリアコーディネーターの存在がクローズアップされるようになってきます。そして、今後更に内装の個別ニーズは多様化が進むことが予想されるでしょう。インテリアコーディネーターの資格への注目度も高まりを見せているので、将来性のある仕事だと考えられます。
インテリアコーディネーターの大変なところ
やりがいのあるインテリアコーディネーターの仕事ですが、大変な部分もあります。特に挙げられるのがコミュニケーションです。自分のセンスを武器に様々な提案を行うインテリアコーディネーターの仕事ですが、自分のこだわりのみで決められるわけではありません。依頼者とのコミュニケーションによって、話を進める必要があります。
そのため、どのような結果となるかは依頼者の考えも重要なポイントの1つです。依頼者によってはこだわりが強く、なかなか話がまとまらないということもあるかもしれせん。異なる意見ではあっても、お互いの意見をぶつけ合うことで良いものが生まれますが、依頼主によっては、そもそも何を求めているのかを模索することから始めなければなりません。ただ、そこもインテリアコーディネーターの楽しみと言えるでしょう。
商業施設士
百貨店やスーパーをはじめとした、商業施設の企画や構成をする仕事です。
安心・安全な施設にするのはもちろん、顧客の購買意欲をそそるような空間をプロデュースするための感性や知識が必要です。
取り扱う商品の種類や、時代によっても商業施設は変化させる必要があります。トレンドやニーズに対しても幅広い視野を持つことが大切な仕事です。
建築施工管理技士
建築施工管理技士は国家資格を取得して初めて就ける職業です。建築現場で作業工程や安全、品質などを管理・監督する職業で、施工管理技士の一種。施工管理技士には土木施工管理技士や管工事施工管理技士など複数の種類があり、建築施工管理技士はそのなかでも「建築」に特化した知識とスキルが求められます。
1級と2級に分かれており、1級の方が担当できる工事の種類が多いのが特徴。公共工事では、その会社にどれだけの建築施工管理技士がいるかどうかで入札が決まると言われています。それほど業界内での信頼度が高い職業なのです。
建築施工管理技士のやりがい
チームプレイの統括者たる立場である点こそ、建築施工管理技士のやりがいです。建築施工管理技士もまた、決して一人で黙々と仕事を行うものではなく、多くの人間をまとめる仕事になります。なかなか思うように仕事が進まないこともあるでしょう。だからこそ、完成という「ゴール」に到達した時の喜びは何にも代え難いものになります。
また、建築施工管理技士の場合公共性の高い建物に携わることも珍しくありません。一般家庭の家屋だけではなく、高層マンションや商業ビル、病院、駅など多くの人が利用する施設やインフラとしての役割を担っている建物にも携われます。社会貢献という経験が持てる点も、建築施工管理技士のやりがいです。
建築施工管理技士の将来性
少子高齢化社会の到来による労働人口不足、さらには建物の需要を踏まえると、建築施工管理技士の将来性は明るいといえます。特に今後、高度経済成長期に建築された建造物の建て替え需要やメンテナンス等が見込まれているのが理由です。
大規模な大会やイベントがあれば建物を施工する必要があります。経済情勢によって消費動向が変わったとしても、建物の需要には影響がみられない点や、建築技術が高まることでさらなる建築需要も生まれるので、今後も多くの仕事が待っているでしょう。
建築施工管理技士の大変なところ
建築施工管理技士は自分一人だけで頑張る仕事ではなく、人をまとめる仕事になるので、それぞれの調整が大変です。計画通りに進まないことも珍しくありません。完成した喜びは大きなものがありますが、完成までの道のりでは、イライラしてしまうことも多々あるでしょう。その点では忍耐も求められますし、現場と上層部の板挟みに合うこともあります。
また、責任重大であることも重要です。建築施工管理技士の仕事は、時には人命に関わることもあります。常に「安全」を意識しなければならないので、些細なことにも気を配らなければなりません。
また、「ゴールがやりがい」というメリットがありますが、すぐに次の現場が待っていることもあります。完成を目指して仕事をこなしつつ、完成したらまた次の現場が待っているのが建築施工管理技士なので、精神面はもちろん体力的にもハードな仕事です。仕事内容によっては、長期出張や転勤となることもあります。その点もふまえて、自分がなりたい職業を吟味して選ぶことが大切です。
それぞれの専門知識を学ぶために
建築の仕事にはさまざまな種類があり、建物自体をつくるのはもちろん、生活するための空間を考える役割など多岐にわたります。
それぞれの職種を目指すためには、建築系の専門学校に通うのがおすすめです。
やりたい仕事によってコースが分かれているところも多く、夢を叶えるための近道を教えてくれるはずですよ。