水害と被害を防ぐための対策とは?
このページでは、建築における水害対策について解説しています。浸水対策ガイドラインや、具体的な対策をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
令和元年に起こった東日本台風の浸水被害
検討会の設置やガイドラインの取りまとめが開始
令和元年東日本台風(第19号)による、大雨に伴う内水氾濫により、高層マンションの地下部分に設置されていた高圧受変電設備が冠水。そして停電したことにより、エレベーター、給水設備などのライフラインが、一定期間使用不能となる被害が発生しました。
災害によって起きた浸水被害の発生から、令和元年11月に国土交通省と経済産業省が連携して、学識経験者や関連業界団体などによる「建築物における電気設備の浸水対策のあり方に関する検討会」を設置しています。令和2年6月に「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」としてまとめられました。
参照元:国土交通省【PDF】(https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001349323.pdf)
浸水対策ガイドラインとは
浸水対策の取り組み
浸水対策ガイドラインでは、浸水対策の企画、設計、管理・運用等設計者(止水板等の設置を計画する者を含む)は、設定された目標水準の達成に向けた連携が必要としています。
建築主や所有者・管理者とも連携することで、浸水への対策を企画および設計を実施。管理・運用段階で留意すべき事項について整理を行い、建築主や所有者・管理者に対し情報提供・助言することが望ましいとされています。
また、所有者・管理者は、当該情報提供・助言を踏まえ、適切な管理・運用を行うとともに、洪水等の発生時の対応や早期復旧対策についてあらかじめ検討しておくことが望ましいでしょう。
浸水のリスクを低減するための具体的な取り組みとして、浸水リスクを低減するためには、浸水リスクの調査並びに設定浸水規模及び目標水準の設定をし、他にも留意点がたくさんあります。
建築でできる水害対策
総合的な安全性を考慮して選定
浸水リスクの低い場所への電気設備の設置にあたっては、低層階に設置が必要な電動ポンプなどをはじめ、電気設備を十分な高さに設置できない場合については、水防ラインの設定等の対策を併せて実施する必要があります。設置場所を選定する際は、浸水対策だけでなく、地震や火災などに対する総合的な安全性を考慮して選定しなければいけません。たとえば、電気設備などの重いものを高所に設置する際には、地震力により転倒する恐れがないかを検討する必要があります。
バリアフリー環境の確保
対象建築物の出入口など、水圧等などによって破損する恐れのあるガラスなどを用いた開口部については、設定浸水深と出入口の床面の位置などを踏まえて対策の必要性を検討し、必要な箇所については、個々の対象建築物の状況に応じて、複合的な対策を講じる必要があります。これは、建築物を利用する際に大きな影響を与えるため、敷地条件や建築計画上の制約との兼ね合いで、慎重な調整が必要です。特に、空間構成上の制約が大きい既存建築物については、活用が困難な面もあります。また、移動経路に段差が生じることがありますので、バリアフリー環境の確保についても、可能な限り配慮する必要があります。
防水扉の設置
設定浸水深、土地の形状などを踏まえ、出入口などの周囲で浸水を有効に防止できる場所に防水扉を設置する必要があります。防水扉の設置は、敷地条件や建築計画上の制約との調整が比較的容易なので、浸水する可能性リスクが低いとされる場所への電気設備設置が困難なケースについても、活用可能な手法です。防水扉には、ドア型のものや、平時は側壁に格納しておくものなど、さまざまな種類があります。
からぼりや壁面等に設けられた換気口などの開口部
出入口など以外にも、からぼりや壁面等に設けられた換気口などの開口部(空調・換気設備の換気口、排水設備の通気管などのこと)についても、浸水リスクがありますので、設定浸水深と開口部の位置などを踏まえて、対策の必要性を検討しましょう。