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資格の取得についてもっと知りたい!

建築に関する資格の試験に関する疑問に答えていきます。

人口減少傾向にある日本ですが、高度経済成長期に建てられた建造物が耐久年数を迎える時期ということで建替・補修などの需要が高まってきています。建設業界は、今後も活発化していくでしょう。建築系の資格を取得することで就職が有利になる人と予想されます。すでに働いている人にとっては給料が上がるチャンスです。

職種によって異なる資格

建築業界の仕事には、施工管理や設計、デザイナーなどたくさんのジャンルがあります。それぞれがさらに細かく枝分かれし、異なる役割を担っているのです。

それに比例して、専門的な資格の多さもかなりのものとなっています。

種類等級によって難易度もそれぞれ異なっているので、ここではその一部をご紹介します。

1級建築士

建築系資格の中でも最難関レベルと言われており、2年以上の実務経験が必要であったりとかなりハイレベルな資格です。その分需要も多く、これさえあれば就職や転職には困らないとされています。

例えば1級建築士の資格を取得すると、設計できる建築物のバリエーションが増えます。住宅だけではなく、大会を行うためのスタジアムまで設計が可能です。大規模な建設を可能とする資格だからこそ、合格率は決して高いとは言えません。公益財団法人建築技術教育普及センターの情報によると、令和5年度の学科合格率は16.2%、製図の合格率は33.2%、総合合格率は9.9%という結果になっています(※1)。国家資格として年に一度の試験しかありませんので、1級建築士になれるチャンスは1年に1度です。

※1参照元:公益財団法人建築技術教育普及センター公式サイト「一級建築士試験|令和5年度」(https://www.jaeic.or.jp/shiken/1k/1k-data.html)

実際、「1級建築士がいる」をアピールしている工務店やハウスメーカーは珍しくありません。担当できる仕事の幅はもちろんですが、お客に対しての説得力という点でも優れていると言えるでしょう。

2級建築士

1級に比べると、試験内容としてはそれほど難しくないとされます。

大学や専門学校の建築課程を卒業すれば受験資格が手に入るので、1級建築士を目指すなら取得を目指すべき資格です。

こちらは1級建築士と比べて、扱える建造物の規模が小さくなります。

住宅関連のみの設計を考えているのであれば、2級建築士でも十分です。大会でも利用できるようなスタジアムの建設が可能な1級と比べ、2級は戸建て住宅程度とされています。ハウスメーカー、工務店であれば仕事に支障をきたすことはありません。

ちなみに合格率も1級建築士と比べると若干高め。公益財団法人建築技術教育普及センターが公表している令和5年度の学科合格率は35.0%、製図の合格率は49.9%、総合合格率は22.3%となっています(※2)。

※2参照元:公益財団法人建築技術教育普及センター公式サイト「二級建築士試験|令和5年度」(https://www.jaeic.or.jp/smph/shiken/2k/2k-data.html)

コンクリート診断士

こちらも難関な資格として有名です。

コンクリートの調査方法から補修、補強方法までを網羅したコンクリートに関するプロフェッショナルになるために必要です。受験には診断士講習会を受講することが必須条件となっています。

合格率だけで考えると、実は1級建築士よりも「狭き門」であるコンクリート診断士。各地域にて受験できますが、2019年度の全国平均合格率は15.6%、2018年度が14.8%です。

しかし、資格取得することで仕事の幅は大幅に広がります。設計事務所や診断補修専門会社だけではなく、建設関連のコンサルタント会社、電飾会社や生コンクリート会社など、活躍の場は幅広くなるのがメリットです。

インテリアコーディネーター

内装の空間をデザインする仕事です。

資格が無くてもデザインの仕事自体には携われますが、有無によって就職率に差が出ます。

インテリア系の職種を目指すなら取っておきたい資格です。

インテリアのコーディネートが、主な仕事になります。部屋という空間をどのようにプロデュースするのか、センスが問われる部分です。インテリアコーディネーターの資格だけを取得するのではなく、他の資格と合わせることで仕事の幅を増やすという考え方が一般的となっています。

ただし、こちらは民間資格であるため、インテリアコーディネーター資格が必須の職場はほとんど見かけません。一方で、建築関連だけではなく、家具販売等においても活躍の場が期待されている資格です。

建築施工管理技士

こちらは、現場監督や管理者として働きたい人が取得するべき資格です。

建築施工管理技士とは、その名の通り管理するための役職です。

主に建築資材の確保や人員のシフト管理、工程にかかるスケジュール管理や工員の安全管理といった作業が主な仕事内容です。

現場の司令塔であり、縁の下の力持ちとして活躍します。管理技師が優れていればいるほど現場のモチベーションや作業は円滑に進むため、非常に重宝されます。

資格には1級と2級があり、大規模な工事の監督をしたい場合は1級の取得が必須とされます。

管理作業が好きな人におすすめできるお仕事といえます。

特に昨今、建築業界全体で人手不足が囁かれていることから、様々な現場で重宝される資格となっています。1級と2級の具体的な違いとしては、1級の施工管理は扱える現場に制限がありません。業務においても同様なので、どのような現場でも活動可能です。

2級の場合、資格そのものが建築、躯体、仕上げに分かれており、それぞれの資格の制限の中での運用になります。

建築設備士

建築設備士は建築設備の知識や技術を持ち、建築士からもとめられた際に、助言やアドバイスを行います。
建築設備とは換気扇やエアコンやなどの空調設備、トイレ水道など給排水衛生設備、照明など電気設備を指し、これらについての専門的な技術や知識をもつのが、建築設備士です

なお、上記の建築施工管理技士と建築設備士の資格は国家資格であり、取得難易度は高めとなっています。

2018年度の合格率は19.4%と、20%を切っています。その前の2017年度が18.1%、2016年度が19.7%であることを考えると、20%に満たない数字で推移していることが分かるでしょう。受験手数料は35,640円(税込)と安くない費用がかかるため、しっかりと対策を立て勉強する必要があります。

試験は学科試験と設計製図に分類されており、双方の見聞も必要です。建設需要が高まりを見せることから、注目されている資格でもあります。

また建築設備士は、二級建築士と同等以上の知識・技能を有する者として、二級建築士の受験資格は実務経験なしで付与され、1級建築士の受験資格については4年の実務経験で受験資格が得られます。

資格取得するために

資格取得のためには、まず「勉強時間の確保」が第一です。

勉強するための時間をまず確保しなければ知識を学ぶこともできず、どうにもなりません。

また「空いている時間にすればいいか」というのは非常に危ういです。

仕事をしながらの勉強というのは、スケジュールに狂いが生じやすいからです。できるだけきちんとスケジュールを決めて行いましょう。

難易度の高い試験であればあるほど、どれだけ勉強に時間を使ったかがポイントになります。

多くの時間をきちんと勉学に当てることで自信につながり、試験当日でも実力をフルに発揮できるようになるのです。

資格の取得を目指すには

将来建築業界で働きたいという夢があり、資格の取得を目指すのであれば、専門学校への入学をおすすめします。

資格を取るだけであれば通信教育や資格学校等の選択肢もあります。

しかし、専門学校には実践的な経験が積める実習科目や、企業とのコネクション等のメリットがあります。

専門学校でしっかりとした知識とスキルを身に付け就職することは、実務経験が必要な1級建築士への第一歩ともなります。

専門学校に通うことで、必然的に勉強する時間を作ることができ、上記した時間の確保につながります。さらに、個人での勉強より質が高い勉強が可能になります。

加えて、資格取得のための対策がカリキュラムとして含まれている他の就職や転職情報も入手しやすいため、上記の仕事に就きたい場合より大きな力となってくれます。

求人には無資格でも就職できる企業もありますが、資格を有していたほうがより求人の幅が広がる他、給与にもプラスされることが多いです。

建築の道を志すのであれば、是非とも専門学校を検討しましょう。

ダブルライセンスがおすすめ

建築士の資格は持つだけでも、十分通用する専門資格です。

しかし、仕事上役に立つ資格をプラスアルファするダブルライセンスを持っておくと、さらに仕事の幅を広げることができるでしょう。

プラスアルファが求められるのは、どこの職場でも同じです。

転職の際にも使えるのでアピールポイントを増やすためにも、建築の仕事に関連する資格を取得しておきましょう。

ダブルライセンスの取得例・活用

やみくもに2種類の資格を取得していても、必要な資格と考えられなければアピールポイントにはつながりません。

建築業界を目指すのであれば、上記の例のように建築と関連のある資格を選び相乗効果が生まれるようにしておきましょう、

2つ目に取るなら”インテリア系”の資格

建築において、より建築物や内装を魅力的に見せるインテリアは重要なポイントです。ここでは、建築士の資格とあわせて取得するのにおすすめの「インテリア系の資格」を紹介します。

設計・建築だけでなく、トータルコーディネートができると、より強いアピールポイントになりますよ。では、どういった資格があるのか見てみましょう。

インテリア系資格ではどういったことができる?

インテリアコーディネーター

壁材・床材などのインテリアに対して深い知識を持つことを証明する資格。

モデルルームのコーディネートや、平面図作成、居住空間についてのアドバイスを行うことができます。

インテリアプランナー

住居の居住性やライフスタイル、生活レベルなどでのインテリア商品選択や構成などのプランニングを行う能力を証明する資格。

内装・照明などの室内空間のデザイン・規格、図面作成、管理業務などを行うことができます。

照明コンサルタント

照明の基礎・照明器具のスペシャリストであることを証明する資格。

店舗やハウジングメーカー・照明メーカー・設計事務所で照明の計算や配置・設置などのアドバイスや環境作りを行うことが可能です。

キッチンスペシャリスト

キッチンの各種設備機器について電気、水道・ガス・設計上の知識をいかし、キッチン空間の構成・設計ができる能力を証明する資格。

キッチンに関する設備やインテリアなどの販売・設計・施工などを行うことができます。

マンションリフォームマネージャー

付加価値の高いマンションリフォームを行うための知識を証明する資格。

マンションのリフォーム企画、施工、マネージメント、見積もり、調査などができるようになります。

福祉住環境コーディネーター

バリアフリーなど、住宅に福祉系の設備を取り入れた家のデザインを行うことができる資格。

個々にあわせて、住宅改修の必要性を証明する証明書などを作成できます。

インテリア系の資格、どうやって取得する?

建築士の資格とあわせて取得したい資格が、インテリアプランナーとインテリアコーディネーターです。

建築士の資格をまだ取得していない場合は、同時に取得できるようにインテリア系の資格カリキュラムをカバーしている専門学校に通うと良いでしょう。

インテリアプランナーの勉強方法

そのため、専門書を読みながら独学するか、インテリアプランナー協会が主催する講習会などに参加して勉強することになります。専門書の数も少ないので、講習会を利用したほうが良いでしょう。

学習する壁は高めですが、建築士の資格を持っていれば、インテリア関係の実務経験がなくてもプランナーに登録できるというメリットもあります。

インテリアコーディネーターの勉強方法

インテリアコーディネーターの資格は、学歴や実務経験に関係なくどなたでも受験できます。

そのため、参考書や通信講座も多いです。ポイントをおさえて学習すれば、独学でも受かる可能性があります。

二級建築士の受験資格

二級建築士の受験資格は実務経験7年以上で、高校の建築・土木科を卒業していると参加条件である実務経験は3年以上と緩和されます。大学・短大・専門学校の場合、土木科であれば1年以上の実務経験、建築学科の場合、実務経験なしでも受験が可能です。

最短で二級建築士の受験資格を得る方法としては、建築学科のある専門学校や短大の卒業でしょう。短大や専門学校であれば、2年のところもあります。高校卒業からストレートに進学し、卒業すれば20歳の時には二級建築士の受験資格を得られるのがメリットです。

一級建築士の受験資格

一級建築士の資格取得は、二級建築士として4年以上の実務経験が求められます。ただし、建築・土木学科を卒業した場合、実務経験が短縮されるのがポイントです。

また、一級建築士試験は二級建築士資格が必須ではありません。二級建築士には興味がないのであれば、一級建築士資格のみを取得することも可能ではあります。ただし、二級建築士資格を取得し、経験を積んで一級建築士を受験するケースが圧倒的に多いようです。

試験の内容

学科試験

建築に関しての学科試験です。

などからの問題で、合計6時間のマークシート方式となっています。学科試験を合格しなければ、設計製図試験に進めません。また、学科試験に合格したものの設計製図試験に落ちてしまった場合、翌年あるいは翌々年に学科試験を免除される制度も用意されています。

設計製図の試験

学科試験に合格した受験者のみが受験できる試験です。建築物の設計図書を5時間の制限時間で製作します。課題となる建築物は事前に公表されていますが、制度の高さがとても大切です。

公益財団法人建築技術教育普及センターの情報によると、令和5年度の製図試験の合格率は、二級建築士が49.9%(※3)、一級建築士が33.2%(※4)となっています。同年度の学科試験の合格率は、二級建築士が35.0%(※5)、一級建築士が16.2%(※6)となっていることから、製図試験のほうがややハードルが低い事がわかります。

※3※5参照元:公益財団法人建築技術教育普及センター公式サイト「一級建築士試験|令和5年度」(https://www.jaeic.or.jp/shiken/1k/1k-data.html)

※4※6参照元:公益財団法人建築技術教育普及センター公式サイト「二級建築士試験|令和5年度」(https://www.jaeic.or.jp/smph/shiken/2k/2k-data.html)

この数字からも、決して「簡単な試験」ではないことが分かるのではないでしょうか。

令和元年一級建築士試験の製図試験

美術館の分館

留意事項

令和元年の一級建築士の設計製図試験の課題は「美術館の分館」でした。要求図書は

などです。

計画にあたっての留意事項として、敷地条件・周辺環境に配慮するとともに空調負荷の抑制や自然光を意識しなければいけません。バリアフリーや省エネ・セキュリティも同様です。各要求室をゾーニングして動線計画を明確にすること、建物全体の構造耐力、安全性、そして経済性の追求についても評価されます。

構造種別によって異なる架構形式やスパン割の適切な計画、さらには部材配置。そして空調設備、給排水衛生設備、電気設備や昇降機設備の適切な計画が求められました。

一級建築士試験のQ&A

Q.1:受験資格にある「その他大臣が特に認める者」とは具体的には?

A.「その他大臣が特に認める者」とは、具体的には外国の大学等を卒業しているケースです。海外の大学の場合、日本の大学と認可が異なるので、すんなりと「問題なし」と判断できないケースもあります。特に建築士の場合、土木・建設学科を卒業しているのかも大きな判断材料になるのがポイントです。受験資格審査を行うことで、受験資格の可否が判断されています。

その際、和訳した卒業証明書や単位取得証明書が必要です。「外国大学等を学歴要件とする場合の受験資格確認票」と「外国大学等の履修科目一覧表」も必要となります。

Q.2:他の資格取得の際の優遇措置はありますか?

A.建築設備試験に関してはインテリアプランナー試験を合格している場合、実務経験年数0年で登録が可能です。土地家屋調査士や建築施工管理技士などでは一部において試験免除になるというように、いくつかの優遇措置があります。

Q.3:受験の申し込み方法は?

A.受験の申し込みは初めて建築士試験を受験するのか、過去に建築士試験を受験したことがあるのかによって異なります。

新規での受験の場合、郵送・受付窓口によって受験申込書が配布されるのでそれを郵送するか受付場所での受付が必要です。過去に受験した経験がある場合、受験申込書と振替払い込み受付証明書、過去の受験票、合否通知書を送る必要があります。

Q.4受験申込書は、郵送してもらえますか?

A.郵送も可能です。請求期間内に請求することで、郵送費用着払いにてできます。請求方法や問い合わせ先は年度末に発表されるので、建築技術教育普及センターの公式ホームページをチェックしておくと良いでしょう。

Q.5発行年月日が古い卒業証明書等は使えるでしょうか。

A.卒業証明書の発行年月日が古い(平成20年度以前の入学)場合、専攻やコース名が記入されている必要があります。学歴で受験申込する場合、平成21年度以降に入学の場合指定科目習得単位証明書や卒業証明書が必要です。旧書式が認められていない点は覚えておきましょう。

Q.6初めての受験の場合インターネット申込ができますか。

A.始めて建築士試験を受験する場合、インターネットからの申し込みは公式ホームページに記載がありません。基本的に記載がないということは、認められていないことになりますので申し込みは指定の方法で行うようにしましょう。どうしても気になるのであれば、一度直接問い合わせてみてください。

Q.7受験票を紛失してしまったのですが再発行できますか。

A.受験証を紛失してしまった場合、過去にも受験経験があれば、過去の受験番号参照紹介を行うことで卒業証明書等の提出を省略できます。始めて建築士試験を受験する場合は受験そのものができなくなってしまう可能性があるので、しっかりと保管しておきましょう。

Q.8平行定規を傾斜させるための傾斜台(まくら)は使用可能ですか。

A.傾斜用の簡易的なものであれば仕様が認められています。角度は30度以下とされていますので、用意するのであれば30度以下であるか確認しておきましょう。もしも30度以上にて製図版を使用すると不正とみなされ、その後の試験の受験ができなくなる可能性もあります。

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