海の近くで起きる塩害とその対策
これから家を建築するときの場所選びで、”海の見える家に住みたい”と考える人もいるでしょう。綺麗な景色を毎日見ながら生活できるのは魅力的ですが、海沿いならではの問題もあります。特に塩害対策をした建築物件は欠かせないポイントです。塩害についてや対策方法について、詳しくまとめました。
塩害とは?
塩害とは、塩が原因で引き起こす建築トラブルのことを言います。海沿いの家は空気や風、土などに含まれる塩分濃度が高いのが特徴です。少量ではなく大量に含まれるため、建築物や車などの劣化スピードが早いと言われています。
家の場合、サッシが錆びたり壁が痛んだりなど、塩害地域ならではのトラブルがたくさん見受けられます。沿岸部の農作物が育ちにくいのも、塩害の影響が関係しているのです。
塩害地域
塩害地域とは、海からの距離で指定されています。海から500〜7,000mのエリアは塩害地域と呼ばれます。もっと近い200m〜500mの距離は”重塩害地域”と呼ばれ、塩害被害を多く受けるエリアです。
塩害地域範囲に建築する場合、使用する素材はもちろん被害をできるだけ最小限に抑えられる対策が必要でしょう。特に東日本エリアの季節風が強い場所と沖縄・九州など、台風の影響を受けやすい場所は要注意です。
参照元:ゼンシンダン 塩害とは?気をつけるべき距離と地域、対策、業者選びのポイント(https://kkzenshindan.com/column/856/)
塩害被害を受けやすい家
塩害被害を受けやすい家は、”海の近くにある家”と”高層階住宅”と言われています。海から近い分、塩害被害を受けやすいのです。
ただし、”海から近い=塩害被害がひどい”とは限りません。土地の地形にもよりますが、風向きや風力によっても範囲が変わります。
また、高層階住宅の場合、海から距離があっても影響を受けやすいでしょう。高層階は一般的な平家と比較しても塩分濃度が高い風をダイレクトに受けます。ベランダのサッシに塩がついていることが多いのも、このためです。
塩害で受ける被害
塩害被害を受けると、建物の耐久性が低下します。塩害の影響による具体的な症状を見てみましょう。
- 鋼材や部材がにひびが入る
- 表面塗装が剥がれる
- 建築物の断面が欠ける
- 電線が腐食し漏電や発火の可能性が出る
- 車や建築物の外壁が劣化する
- 金属素材が錆びる
- モルタル系の素材が劣化する
- コンクリートに穴があく
これはほんの一例です。”塩害=サビ”のイメージが強いですが、コンクリートやペンキ塗装などの剥がれも塩害被害の一部だと言われています。
特にコンクリートの劣化は見落としがちな被害とも言われています。コンクリートは金属素材ではないため、塩害被害の影響を受けないと思われがちです。
実はコンクリートの中には鉄筋が入っています。海水や潮風にさらされると、内部へと浸透し、徐々に劣化がスタート。次第に鉄筋が錆び始め、膨張するため、最終的にコンクリートはひび割れたり剥離したりなど、塩害被害の影響が出るのです。突然バラバラとコンクリートが破損するのではなく、中の鉄筋が錆びて露出します。外に露出するとさらに錆は進行するため、劣化スピードもアップするのです。
このように、特別な素材ではなく一般的な建築で使用する素材でも塩害被害を受けます。塩害地域に建築する場合、より一層注意が必要でしょう。
建築物の塩害対策
建築物の塩害対策には、以下内容が効果的です。海の近くに建築するときに意識して対策してみましょう。
塩害に強い素材や特別仕様素材を取り入れる
建築物に使用する素材は、塩害被害に強いものを取り入れましょう。
- ガルバニウム
- ステンレス
- 樹脂サイティング
などは、塩害被害に強いと言われています。ガルバリウムは一般的な素材と比較すると錆びにくいため、潮風や海水の影響を受けにくいでしょう。100%錆びないということではないため、塩害対策用に加工されている素材を選ぶと◎!外壁に取り入れている方もいらっしゃいます。ステンレスは耐久性も優れているだけでなく、サビにも強いのが特徴です。
樹脂サイティングは耐火性や耐久年数が何十年単位で対応できるため、近年よく利用されています。素材の特徴を加味しながら、塩害対策してみましょう。
参照元:街の外壁塗装やさん東京店 塩害を受けやすい住宅の特徴と錆から家を守る塗装メンテナンス方法をご紹介(https://www.tosouyasan13.net/engai)
掃除をこまめにする
塩分が多量に含まれる海水や潮風は、素材に付着している時間が長ければ長いほど、被害を受けやすいです。ベランダやサッシについた汚れは、定期的に拭き取りましょう。
また外壁も高圧洗浄機などを使って洗い流すと、簡単に汚れが落ちます。海水を落とすのがポイントなので、真水で水洗いをしましょう。ブラシで擦る場合は、やわらかいタイプがおすすめです。硬いブラシで擦ると、さらに傷つける可能性があります。
外壁の塗り替えを定期的に実施する
外壁メンテナンスは10年に1回のタイミングが推奨されていますが、沿岸地域の場合7~8年サイクルでの塗装がおすすめです。
塗料にもたくさん種類があるのですが、塩害被害を抑えるタイプや耐久性の高いタイプもあります。場所に応じて塩害対策ができる素材を選んで設計を進めていくのが良いでしょう。
参照元:街の外壁塗装やさん東京店 塩害を受けやすい住宅の特徴と錆から家を守る塗装メンテナンス方法をご紹介(https://www.tosouyasan13.net/engai)