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建築構造

建築物は人々の生命を風雨から守り、快適な生活や円滑な事業活動を進める上で欠かせない存在です。建物の安全性は大事な要素であり、そのために建物の骨組みがしっかりしていなければなりません。

建築構造は、この骨組みを構成する形式や材料などを含めた総称です。骨組みの力の流れ、形式、材料、架構の作り方などによって様々なバリエーションがありますが、建築構造はこれらの要素を全て含みます。

その役割は、内外から建物に作用する力に対して建物が崩壊しないように建物を保つことです。この建築構造を「構造形式」と「構造材料」に分けて説明していきましょう。

構造形式とは?

建物には様々な力が加わってきます。外から力がかからなくても、建物自体には常に重力が作用しています。外からの力としては地震、台風、豪雨、豪雪、竜巻などがあります。中でも被害が大きいのが地震で、屋根や壁の崩落、柱の傾き、建物自体の倒壊などさまざまな被害が発生しており、2011年の東日本大震災では大津波が発生し、多くの建物自体が流されました。

その一方で近年は台風、豪雨、豪雪も大型化・頻発化しており、強風で屋根瓦が飛ばされたり、積雪の重さで屋根が崩落する被害が相次いでいます。また、土砂災害によって倒壊した建物を各メディアで目にすることが珍しくなくなりました。建物をこうした力も作用から守るためのポイントは地盤です。どんな建物も地盤によって支えられていますから、地盤が固くて強いほうが被害を小さく抑えるには有利です。

他にも、建物に加わった力をうまく地盤に伝達する、言い換えれば地盤に逃がすことができれば建物の被害は小さくなります。建築形式とは、このように建物に作用する力をうまく地盤に伝達するための構造機構(構造システム)のことです。力の伝達方法によって以下のように様々なタイプがあります。

ラーメン構造

ラーメン構造は、柱と梁、床材のみで構成され、これらとつないで建物を支える構造です。設計の自由度が高く、柱・梁・壁以外は間仕切りにできるので窓の配置も自由になります。高層マンションによく採用されています。

耐震壁付のラーメン構造も

ラーメン構造には耐震壁付のタイプもあります。柱・梁・壁の構造は純粋なラーメン構造と変わりませんが、耐震壁が地震の影響を抑えるため、柱や梁の寸法を小さくすることができます。

ブレース構造

ラーメン構造に次いで採用されている構造形式です。ラーメン構造が、柱と梁を剛強に接合して地震や長期荷重に耐えるのに対して、ブレース構造は、『ブレース』と呼ばれる部材を斜めに組み込むことで地震や暴風の力に抵抗します。

一定間隔で配置する必要があるため、建物のプランニングには制約が出てきますが、耐震性能が高まることから商業施設などでよく採用されています。

トラス構造

部材の両端をピンで接合し、部材同士を三角形につなぎ合わせて強度を高める構造です。外圧を加えても軸力しか発生しません。体育館やドーム、橋梁などでよく使われています。

壁式構造

柱と梁の代わりに圧力に耐える力の強い壁で、建物の荷重を支える構造です。壁をどう配置するかが重要で、間口などの位置が制限されますが、5階建て以下の低層マンションで多く採用されています。

シェル構造

卵の殻のように曲面状の薄い板を用いて耐荷重力を高めた構造。外圧に対して強く、壊れにくい卵の性質を応用し、建築物に採用されました。

アーチ構造

曲線を描くアーチの形を取り入れた構造。アーチ形状は水平の梁に比べて曲げモーメントが小さく、代わりに圧縮力が作用して耐荷重力がアップします。圧縮力に対しては石やレンガ、コンクリートなどの材料が適しているため、石積みで建造された西洋のアーチ橋でよく採用されています。

構造材料とは?

建物の強度を上げるためには、構造形式に加えて構造材料も重要です。使われる材料は建物の特性によって使い分けられています。例えば、高層ビルに重量の思い材料を使ったら効率が低下し、コストもアップします。このため、高層ビルには軽くて強い鋼材を使用するのが一般的になっています。

また、戸建て住宅では木材がよく使われます。木には吸湿・放湿の働きがあるため、天然のエアコンの機能を果たし、そこに住む人は快適に過ごすことができるのです。その一方で、マンションや集合住宅は、遮音性を高める必要があるため、鉄筋コンクリートがよく用いられています。それぞれの材料にはメリット、デメリットがあり、建物の特性に合わせて最適な材料を使用していくことが重要になります。

鋼材

鋼材の主原料は鉄で、鉄筋コンクリートよりも軽く、柔軟性があります。部材は設計図に合わせて工場で生産し、工事現場にトレーラで搬入されるので工事の効率化を図ることができます。ただ、腐食に弱く、意外にも火災に弱いのが難点と言えます。

木材

軽くて加工も簡単で、工場だけでなく現場でも手を加えることができます。鋼材と同じように部材は工場であらかじめ加工されているので現場での建築作業は効率化されています、しかし、燃えやすく、木材によって強度にバラツキがあるのがデメリットです。

鉄筋コンクリート

遮音性が高くて火災にも強く、設計の自由度も高いので、ラーメン構造の建築物によく使われています。ただ、鋼材よりも重くて値段は高く、熱に弱いです。また、鋼材のように溶接しにくいというデメリットもあります。

まとめ

これまで説明してきたように建築構造は、建築形式と建築材料に大きく分かれるわけですが、この2つの要素がうまく両立してこそ建物の安全性が保てます。建築形式や材料のメリット・デメリットを見極めながら多くの条件をバランスよく取り入れ、安全性の高い建築物を実現するのが設計者の重要の役割と言えます。

また近年では、地震により建物の構造部分以外でも被害が多発しています。例えば天井材は、直接構造を支える部材ではありませんが地震によって落下し、被害を受ける住人が出ています。構造部分だけでなく、家具の転倒による被害も少なくありません。こうした部分にも目を配りながら、総合的に安全性を確保していくことが不可欠になっています。

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