建築学校卒業後にある就職での志望動機
建築士の志望動機
建築やデザインが好きだから
建築士の志望動機として多いのが、「好きだから」です。「好きこそものの上手なれ」という言葉もあるように、「好きだ」という認識は、自らに向上心をもたらしてくれるので、仕事に対して貪欲になれます。学生時代の勉強で、改めて「建築士として仕事をしたい」「自分に向いている」と感じたからこそ、業界に入りたいと考える方は多いようです。
実際、建築士になれば理想だけではなく、大変なことも待っています。ただ、「好きだから」という気持ちは、辛いときの自分の支えにもなります。仕事はモチベーションが大切です。新しく覚えることも多々ありますが、建築やデザインのお仕事が好きであれば、貪欲に吸収しようとする前向きな気持ちにもつながるでしょう。
残るものを作れるやりがい
建築士として生み出したものは、その後何十年と残ります。一般宅はもちろんですが、一級建築士ともなれば商業施設に携わることも可能です。地図にはもちろんですが、人々の役に立つ物を作れるやりがいや、自分の作ったものが後々まで残る喜びは、建築の設計ならではと言えるでしょう。
だからこそ、建築士への志望動機として挙げられることが多いのも頷ける話です。
憧れの建築士がいる
雑誌などにも紹介される有名な建築士に憧れたり、ある建物に感銘を受けたりしたのをきっかけに建築士を目指す人もいます。すでに活躍している建築士に憧れを抱いたのをきっかけとして志望する人もいるのが、建築士と言うお仕事です。中には自分の親が建築士で、子どもの頃からその仕事をする姿に憧れていた、という志望動機で建築士を目指す人もいます。
建築によって心や人の流れが変わったという経験
自分が過去に新築住宅に引っ越したり、リフォームをしてきれいな家に生まれ変わったりしたことで、生活が快適になった良い経験をきっかけに建築士を目指すケースもあります。住宅だけでなく「駅がリニューアルされて街が活気づいた」「商業施設ができて快適な生活になった」という建築物によって、環境が良くなり感動してというケースもあるかもしれません。
災害に負けない家を作りたい
東日本大震災や近年の大雨や台風による被害から、「家族がずっと安心して暮らせる家を作りたい」「自然災害にも負けない耐久性の高い家を作りたい」という思いから建築士を志望するという人もいます。建築士は建物を通して人々の安全な生活に貢献できる、やりがいのある仕事であるといえるでしょう。
志望動機を書くときに気を付けること
志望する業種を意識しよう
一口に「建築士」といっても、様々な仕事が待っています。設計事務所からゼネコンに地方自治体など、建設の仕事は多種多様です。そのため、志望する業態によってもまた、志望動機は異なります。例えば設計事務所の場合、設計だけではなく、顧客とのコミュニケーションも必要です。設計する力はもちろんですが、顧客心理の理解、接客術なども求められます。
ゼネコンや地方自治体の場合ともすれば大きな組織で働くことになりますし、ゼネコンであれば当初は下積みとして異なる部署に回されることもあるかもしれません。地方自治体であれば、営利よりも「地域サービス」が求められるので、それぞれの違いを意識することが大切です。
学びながらという向上心をアピール
建築士のお仕事は奥が深いものです。一流の建築士であっても、「日々勉強」という姿勢を持っているほど。それだけに、志望動機でも「学びたい」という姿勢を出すと良いでしょう。「既に自分は即戦力として働けるほどの力量を持っている」ではなく、「仕事を通してもっと成長したい」という気持ちを、志望動機にも含めることが大切です。
設計士のお仕事は一つのゴールに到達したら、すぐに次の仕事が待っています。日々勉強な環境にあるからこそ、向上心の有無が重要です。決して「今の時点で通用する」ではなく、「もっともっと成長したい」というスタンスで就職に取り組みましょう。
避けたほうが良い志望動機の伝え方
曖昧で使いまわせるような志望動機は控えよう
現実的に、就職活動では様々な企業にエントリーすることでしょう。そのため、履歴書の作成も面倒に感じてしまうかもしれません。その際、ついつい同じような文言を並べてしまうことは避けるのがおすすめです。いわば「どこへの志望動機としても通用する」ものですが、そのような志望動機は具体性に欠けます。例えば「後世に残る建設事業に携わりたい」だと、一見、建設業界に適した志望動機に思えるでしょう。
しかし、会社側からすると「別にうちでなくてもいいのではないか」と思うでしょう。面接は学生だけではなく、企業側も真剣です。誰を雇うのかで、会社のその後が変わると言っても過言ではありません。真剣に決めるため、細かい部分まで見ています。「どの企業にも同じ志望動機なのだろう」と見透かされることも考えられるので、本当にそこに就職したいなら「なぜその企業に就職したいのか」、より具体的な理由を書くよう心掛けましょう。どこにでも活用できるような汎用性の高い志望動機は逆効果です。
会社を「変えていく」「支えていく」などの志望動機
やる気をアピールすることは悪いことではないのですが、「入社したら会社を変えたい」「入社したら会社を支えていく」などの志望動機は、場合によっては好ましくありません。この点も、採用する側としては「だったら起業した方が良いのでは」「別にうちでなくても良いのでは」と思う可能性があります。
会社側が雇いたい人間は、会社にマッチしているのかです。入社し、会社に貢献してくれる人材であって、会社を変えようとする人材とは限りありません。
新卒採用の場合、会社が求めているのは将来性です。会社を変える・支えるといった大きな言葉よりも、まずは組織に順応できるのかを重視しています。やる気をアピールしたいからといって、会社組織そのものあり方を変えるような志望動機は控えたほうが良いでしょう。
面接での注意点
ハキハキと、そしてマナーや言葉遣いを意識しましょう
この点に関しては建設業界の面接の注意点ではなく、どの業界での面接でも同様のことが言えます。面接の際、担当人事は「何を喋るのか」だけでなく「どのような態度なのか」も見ているのがポイントです。マナーや礼節を欠いていたら、組織への順応性がないと感じられてしまうでしょう。建築のお仕事もまた、人と接するためマナーは必須です。
建築のセンスも大切ですが、コミュニケーション能力に難があると思われてしまえば、採用を躊躇されてしまう可能性はあります。緊張してしまうのは致し方ないのですが、マナーや言葉遣いなどは正しいものを心掛けましょう。
履歴書との齟齬がないか
面接を担当する企業側の人事は、履歴書を見ながら話を進めます。いわば履歴書が「参考資料」になるので、履歴書との齟齬があるようでは信頼に響くので注意しましょう。例えば建設業界の面接で「好きな建築物」はよく聞かれる質問の定番ですが、履歴書とは違うものを答えると、人事から「本当に履歴書を自分で作ったのか」と疑われるでしょう。
「適当に書いているのではないか」「履歴書を大量に作っているだろうから、うちに出した履歴書がどの履歴書なのかを把握していないのだろう」となるかもしれません。履歴書に書いたことを覚える…というよりも、面接で困らないためにも、履歴書に虚偽や付け焼刃の知識を書かないことが大切です。面接中にスマートフォンで調べることなどできないので、履歴書に書いたことは責任を持って覚えておきましょう。
自己PRのポイント
分かりやすさを徹底しよう
自己PRはいわば「自分のことを知らない相手に自分のことを知ってもらう」ためのものです。家族や友人・知人のように、自分をわかってくれている相手に対してではなく、自分のことをまったく知らない相手に伝えなければいけません。予定調和だったり、あるいは「知ってくれていること前提」の暗黙の了解を作るのではなく、丁寧かつ分かりやすい説明を心掛けましょう。
「根拠」を出しましょう
自分のアピールはどうしても力が入るものです。「自分はこんな人間です」と履歴書にせよ面接にせよ、自己PRで相手に対し「雇ってみたい人材だ」と思わせなければいけません。アピールに力が入るのも当然です。しかし、それらのアピールに「根拠」を忘れないようにしましょう。
例えば「自分は向上心が強いです」というアピール。向上心をアピールしたいことは相手も察してくれるのですが、「なぜ強いのか」のエピソードがなければ、説得力がありません。「勉強の際、いつもテストの答えを覚えるだけではなく、理由から解明していた」「学校の授業の後、分からないことがあればいつも先生に納得するまで質問していた」など、見聞きした人間が向上心に対して納得できるエピソードを添えることで、自分の言葉にも説得力が生まれます。他のアピールでも同様ですが、「○○があります」ではなく、「○○だから○○があります」といったように、アピールに対しての根拠も明示できるようにしましょう。
履歴書を書く際の注意点
虚偽を書かない
常識ではありますが、特に志望動機や自己PRなど「調べようがないもの」は、「少しくらいなら」と話を盛ってしまう人もいるかもしれません。しかし、仮に話を盛った履歴書で面接まで進んだ際、履歴書に書いてあることを尋ねられてしっかりと答えられるかといえば難しいでしょう。むしろ「嘘を書いた」ことが露呈して、信用を損ねかねません。
落ち着いて綺麗な字で
履歴書は自分のためではなく、相手に見てもらうためのものです。さらには、面接官の目の前ではなく、自分のペースで作成できるものなので、慌てて仕上げるのではなく、余裕を持って作成しましょう。特に字に注意です。字の綺麗さは人それぞれではありますが、少なくとも面接官が読めない字では、どれだけ素晴らしいことが記載されていても読めない以上どうすることもできません。履歴書は自分を知ってもらうために「他人に見てもらうもの」です。他人が読みやすいよう、落ち着いた綺麗な字を心掛けましょう。