建築士のお仕事現場の流れ
建築現場の流れ
着工
建築現場では、工事に着工する前の準備が大切です。
まずは現場調査で測量を行い、周辺環境を含めた情報を確認します。周辺環境の調査では、周囲の建物について、マンホールの位置はもちろん、道路の幅や水道メーターの位置まで細かく調査していきます。
また、現場周辺への挨拶や工事についてのお知らせも大切な仕事です。そして必要であれば解体工事、解体が終わってからの地盤調査を実施します。
調査の後は日本の伝統である地鎮祭を行い、必要な地盤改良工事を経て、設計・各種申請・工事契約締結が終わってようやく着工です。
工事着工すると、まずは図面を元に地面を掘る根切り・遺り方工事、防湿と基礎の精度向上の為に薄くコンクリートを打つ捨てコンクリートと呼ばれる作業を行います。
配筋工事
次に行うのが配筋工事です。設計の図面に合わせて鉄筋を組み立てていきます。最近では、工場で加工された加工鉄筋を組み立てることが多く、日本語がわからない外国人の職人が担当する場合もあるので、現場監督が図面を見ながら工程を確認することが重要になります。
打設工事
次に、コンクリートを打つ打設工事を行います。住宅の場合は底部分と、基礎の縦の部分と2回行うのが主流です。
配管工事
配管工事は、打設工事と同時並行で行います。
プレカット工事
専門の工場で、原材料のカットや接合部分の加工を行います。
足場組立
敷地や建築物に合わせた足場を、専門の業者が組み立てていきます。
上棟
建て方工事
建て方工事は、家づくりの要となる柱や梁を組み立て、床や屋根を貼る作業です。この段階でしっかりと歪みを調整することが大切です。建て方工事が終わったら、上棟式を行います。
中間検査
中間検査では、主に金物についての検査です。規模が大きい現場では法令検査、小規模の現場では、現場と保証会社での検査が実施されます。
金物釘やネジなどが緩んでいないかを検査します。また、釘の打ち方によっては建物の強度に影響が出ることもあり、施工者の実力によって差が出る部分でもあるので注意が必要です。
防蟻工事
断熱材の充填前に防蟻処理を行っていきます。最近は人体に影響の少ない防蟻方法が選ばれやすくなっています。
サッシ工事
サッシ工事も、上棟が終わってすぐに行われます。建物を雨から守るためにもここまでの工程はスピーディーに行われることが大切です。サッシ廻り工事で、防水テープや防水シートも同時に貼られます。
板金・防水工事
サッシ工事と同時並行で行われる防水施工。屋根の防水や外壁への防水シート貼り付け、バルコニーや屋上部分への防水加工を行い、建物を雨から守ります。
床暖房工事
床暖房については、どの方式を採用するかで細かい施工手順などは変わってきますが、基本的に床の施工前に行います。パネルタイプや、パイプで温めるもの、温風や太陽光を利用するものなど、それぞれに合わせた施工を行っていきます。
断熱工事
断熱材の施工は、サッシ廻りや配管の貫通部分など複雑な構造の部分もきちんと施工できているかが大きなポイントです。吹付系の断熱材など、専門業者による施工についても、厚みやムラについて確認が必要です。
床の施工
次に、床の施工を行っていきます。無垢材の床の場合は、季節や湿度によって収縮があるので、その収縮を計算しながら施工していく必要があります。これに関しては、職人の経験が頼りです。
通気胴縁の取り付け
通気胴縁は、外壁施工前に空気と水の通り道をつくるために取り付けます。通気胴縁を取り付けることで、断熱効果が高まったり、外壁の隙間から侵入した水をスムーズに外に排出することができます。
外壁工事
外壁工事は、耐久性・防水・透湿性・断熱・遮熱効果を目的として行います。どのような外壁にするかにもよりますが、下塗り・中塗り・上塗りの3工程で施工していきます。
配管・配線工事
設備の配管と電気配線の工事は、大工による施工と同時進行で行われます。しっかりと設計通りに勾配が確保されているか確認します。また、ユニットバスなどはこの段階で取り付けます。
壁材の貼り付け
壁材の貼り付けをする前には、石膏ボードが貼られると見えなくなってしまう部分を入念にチェックします。また、重たい器具を取り付ける場所には下地を入れるなどの準備も大切です。
石膏ボードについても、耐水石膏ボード・強化石膏ボードなど様々な種類があるので、それぞれを適切な箇所に使用するために確認を怠らないことが大切です。
タイル工事
壁材の貼り付けをする前には、石膏ボードが貼られると見えなくなってしまう部分を入念にチェックします。また、重たい器具を取り付ける場所には下地を入れるなどの準備も大切です。
石膏ボードについても、耐水石膏ボード・強化石膏ボードなど様々な種類があるので、それぞれを適切な箇所に使用するために確認を怠らないことが大切です。
建具工事
建具工事については、枠などは大工仕事になります。また、既製品はそのまま取り付け、造作物の場合は専門業者が採寸・加工して取り付けます。
内装仕上げ
内装の仕上げは、石膏ボードの継ぎ目や釘穴を均一に埋めるなどの、下地処理が大切です。薄いクロスの貼り付けや塗装仕上げの場合は、より高い技術の下地処理が求められます。
塗装工事
塗装工事では、塗る素材と塗料の組み合わせにより、同じカラーでも仕上がりが変わってきます。その為、塗る前に実物の素材と塗料で色見本を作り、必ず色味を確認するようにしましょう。
照明工事
照明も、様々なタイプの照明があるので、確認しながら照明器具を取り付けます。間接照明についても、実際に明かりを灯して1つ1つ設計の通りになっているか、明かりがつかない器具が合ないかなどを確認します。
まとめ
建築工事現場では、設計図面通りに施工できているか、不具合がないか、防水性・耐久性、施工の手順ははもちろん、安全性や見た目の美しさにまで細かく気を配り確認することが必要です。
現場により選択されている工法やプランも違うので、毎回の現場でミスが起きないように工法の手順の確認と施工状態のチェックが必要になります。職人の技術や経験には、どうしても差が出てしまうこともあるので、確認と修正の指示などを的確に伝えることが求められます。