建築士の仕事が向いている人の特徴
このページでは建築士に向いている人の特徴を3タイプ紹介しています。建築士という職業が気になっている人は、当てはまるかどうか覗いてみてくださいね。また、建築士の市場についても解説しています。
建築士に向いている6つのタイプ
建築士は、ひとことで言うと建物をデザイン・設計する職業です。きっと建築士と聞いてイメージするのは、創造力の高さ、緻密さ、手先の器用さ、頭の良さでしょう。確かにどれもあった方が良いスキルですが、「本当に建築士に向いている人」を決める判断材料にはなりません。実は、もっとシンプルかつ簡単な判断材料があるんです。
建築士に向いているポイントを6つのタイプに分けて解説しているので、該当するかどうか確認してみてください。
その1:何かを作ることが好きな人
何かを作ることの「何か」とは、本格的なものじゃなくてもOK。例えば小さなころに積み木やおもちゃのブロックで遊ぶのが好きだった人や、図工の授業が楽しみだった人も当てはまります。建築士を目指すうえで大切なのは、クオリティよりも「作ることを楽しいと感じられるかどうか」。加えて、楽しんで作ったもので「誰かを喜ばせたい!」という気持ちが強い人は建築士に向いています。
その2:美術品が好きな人
デザインセンスの良さは建築士の仕事で活きる1つのスキルです。美術館、陶芸展、海外などへ足を運び、美術品の構造やデザインを目にしている人は、自然とデザインセンスが磨き上げられています。これは、建築設計における「意匠」の分野で役立つスキルとなるでしょう。これまで自分の中にインプットしてきた数々のデザインを建築物デザインで活かしてみてはいかがでしょうか?
その3:理系科目が得意な人(ただし必須ではありません。)
理系科目の知識は建築設計における「構造」の分野で役立ちます。建物の強度や耐震性を割り出すために必要なのは計算力、環境に配慮した塗料や資材を使用するために必要なのは科学知識です。もともと理系科目が得意な人なら、人と環境に配慮した家を設計する建築士を目指せます。ただしこういった科学的適性がなくても問題ないです。直観や感性をいかした芸術的適性で活躍されている方もたくさんいますし、人にやさしいもの、楽しませるもの、生活を豊かにする工夫などは、こういった直観や感性の有無が大きく問われます。
その4:大人数での取り組みが好きな人
建築士の仕事は、自分だけが頑張ればなんとかなるものではありません。営業マンとのコミュニケーション、現場スタッフとの連携など、いわば「チームプレイ」が求められます。一人でよりも、むしろ大人数で取り組めることを楽しめる人、大人数での達成感に喜びを感じる人に向いている職業です。
その5:継続力のある人
「忍耐」と言い換えても良いかもしれませんが、建設の仕事は常に長期的ビジョンが求められます。一日二日で終わるような仕事ではなく、数か月はおろか、数年かかるようなお仕事もあるのが実情です。「一日」という単位で見ると、仕事が進んだのかさえよく分からないような日もあるかもしれません。そのため、結果をすぐに求める人ではなく、「ゴールまでコツコツと」進める人は建築士に向いています。
言うなれば、長距離走のようにペースについて綿密に計画しながら進める力が必要です。
その6:責任感のある人
建築士のお仕事は、依頼主のためのものです。二級建築士の場合は、基本的に一般宅の施工を担当するでしょう。請け負った建築物は完成させることだけでなく、依頼主の快適な生活の実現も目的の1つです。災害のように、万が一に備えた安全性の確保も必要となります。目に見えない部分、おそらく気付かれないであろう部分にまでこだわりを持つ責任感もまた、建築士に求められる能力です。
建築士に向いていない3つのタイプ
その1:協調性がない
建築士の仕事はチームプレイが必要となります。つまり、個人プレイが好きな人、あるいは自己主張が強すぎる人は、建築士に向いていないかもしれません。様々な人がいる中で、それぞれが協調性を意識してチームプレイを行うことが求められているのが建築士です。自分の思い通りにではなく、建築士や依頼主とで納得できる対応が求められます。
その2:飽きっぽい人
建築士のお仕事は常に「長期戦」になるので、すぐに結果を求める人や飽きっぽい人は向いていません。二級建築士の場合は一般宅の施工になりますが、それでも場合によっては数か月、あるいはそれ以上の施工期間になることもあります。時には天候不順等で思うように作業が進まないこともあるでしょう。
資格を取るのも大変なので、飽きずに続けられる工夫が必要となります。
その3:建築物「しか」見ていない人
家を建てるのは、依頼主のためです。そのため、自分が思う家造りだけにこだわるのではなく、依頼主の希望までふまえて考えなければいけません。「良い建物を」という気持ちは素晴らしい考えですが、「良い」とは建築士や現場の人間にとってではなく、依頼主にとって満足できる家造りが大切です。
建築士に求められる適正とは
建築士は依頼主の要望を汲み取って、それを形にしていく仕事です。ただ知識だけを積み上げるだけではなく、創造性、提案力などの能力も必要とされます。建築士に求められる適性について具体的に見ていきましょう。
創造する力
依頼主の希望に沿って、建物の土台から空間デザイン、内装、使用する素材、色合いなどをトータルで考える創造力が必要となります。もちろん、基礎的な知識やデザインの種類を多く知っていることは大切ですが、それらを統合して自分のセンスとアイディアによって形にしていくクリエイティブな要素が必須です。
周辺の環境や依頼主の要望など、建物の用途も含めて毎回コンセプトは異なります。ひとつとして同じ条件の建物はないため、その都度新たなものを創り出していかなければなりません。
提案する力
建物の設計を進める時は、依頼主から完成のイメージをヒヤリングしたり、要望を汲み取った上で進めていきます。そうして集めた情報を統合して、依頼主の希望を最大限に取り入れた設計を提案する力も必要です。
イメージ通りのものを示すのはもちろんですが、予算も考慮しなければなりません。中には複数の会社から競合によって仕事を勝ち取る、コンペ方式で話を進めていくこともあります。自分の案の魅力をアピールできるようなプレゼン能力も必要となってくるでしょう。
相手目線で考案する力
建築士が創り出す建物は、自分自身のために建てるものではありません。依頼主やその建物を利用するお客が満足できる建物を創り出すことが重要であるため、建築士のこだわりだけでは成り立たないのがポイントです。
例を挙げると、子どもがいる家族の家では子ども目線、親目線で子育てのしやすさを考えた設計をすることによって、依頼主の満足度を得られるでしょう。デザインが魅力的であったとしても、実用的でなければ依頼主の満足度を得ることはできません。スキルだけでなく、相手目線で考案する力も培っておきましょう。
建築以外の分野に興味を持つ
建築士が手掛けるのは個人の住宅だけでなく、商業施設や博物館、コンサートホールなど多岐に渡ります。時には、街づくりに携わるかもしれません。建築に関する知識を持つのはもちろん、歴史や音楽や映画など、建築以外の分野に興味を持つことによって、様々な建物のアイディアを広げられます。
視野を広げることで、デザイン性、アート性、技術性を兼ね備えた設計を手掛けることができるでしょう。
市場から見る建築士に必要なポイント
日本国内の建築士は、建築事務所に在籍している人、ゼネコン系の会社で設計業務を手掛けている人、何代にも渡って職人技が受け継がれてきた木造大工など、活躍の場は様々。ちなみに最近は、建築事務所やゼネコン系会社に理想の家を依頼する人が増えています。建築技術の評価だけでなく、斬新さやデザイン性、ライフスタイルに合わせた利便性など、建築士として評価されるポイントは広がりつつあるのです。
求められるスキルは時代によって変化します。建築士に向いているかどうかを決めるポイントの中でも、時代の変化に左右されないのは「作ることが楽しい」「作ったものを見せる相手を喜ばせたい」という純粋な気持ち。これさえあれば、建築業を心から楽しめる建築士になれるでしょう。