建築物省エネ法とは?
東日本大震災以降、日本国内のエネルギー需給が一層逼迫する中、建築部門でのエネルギー消費量は著しく増加しています。省エネルギー対策の抜本的な強化が必要であるという考えから、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」が、平成27年7月に公布されました。
どのような法律なのか
規制措置と誘導措置の2つがあり、平成28年4月1日に誘導措置が先に施工されました、その後、平成29年4月1日に規制措置が施工されています。
規制措置
建築物省エネ法は、大規模非住宅建築物の省エネ基準適合義務等の規制措置と、省エネ基準に適合している旨の表示制度および誘導基準に適合した建築物の容積率特例の誘導措置の、大きく2つの措置を一体的に講じたものです。
規制措置の適用判断
平成29年4月1日に施行された建築物省エネ法の規制措置では、省エネ基準適合義務・適合性判定義務があり、非住宅2,000m2以上で、届出が必要なのは、300m2以上の建築物です。
この規制措置の最も厳しい条件の、2,000m2以上の大規模な非住宅建築物を新築・増改築する場合、従来の省エネ法では届出義務を採用していましたが、改正後は、その建物が建築物省エネ法に適合しているかどうかの判定を受ける必要があるという適合義務が課せられることになりました。
例えば、大きなオフィスビルや商業ビルなどを建てる場合には、まさにこの基準をクリアし、適合判定通知書を受け取らなければならず、この通知書がないと、建築に着工することも、建物を使用することも不可能なのです。また、適合と判定されたあとでも、指定機関等による確認審査や完了検査などが組み込まれていますので、所定の手続きに沿って建築物を完成させる必要があります。
2,000m2以上の大規模な住宅建築物、300m2以上2,000m2未満の中規模建築物については、従来通りの届出義務という規制内容なのですが、その詳細は以前よりは厳しいものとなりました。
参照元:ダイキン 建築物省エネ法について(https://www.ac.daikin.co.jp/catalog/shouene)誘導措置
平成28年4月1日施行に施行された建築物省エネ法の誘導措置の建築物の所有者は、所管行政庁から、この建築物が省エネ基準に適合しているという認定を受けると、「省エネ基準適合認定マーク(eマーク)」を建築物や広告などに表示できるようになりました。
あわせて、容積率特例という仕組みでは、省エネ性能の向上に資する全ての建築物の
- 新築
- 増築
- 改築
- 修繕
- 模様替え
- 建築物への空気調和設備等の設置・改修
を対象として、その計画が一定の誘導基準に適合している場合、その計画の認定を建設地の所管行政庁により受けることが可能です。
対象の建築物
規制措置の対象
一定規模以上の新築・増改築が対象となる規制措置。もし該当する建築物の新築や増改築を行う場合は、その用途や規模などに応じて、省エネ基準に適合していることの所轄行政庁などによる適合性判定や、所轄行政庁への届出などが必要です。
規制措置の対象となる建築物について、省エネ基準に適合していなければ、建築基準法の確認済証の交付を受けることができなくなりますので、注意しておきましょう。
誘導措置の対象
誘導措置(任意)の対象は、全ての建築物(新築・増改築・修繕・模様替え・設備設置/改修・既存)です。
省エネ性能の向上に寄与する建築物で、
- 新築
- 増築
- 改築
- 修繕
- 模様替え
- 建築物への空気調和設備等の設置・改修
が対象となります。その計画が一定の誘導基準に適合している場合は、建設地の所轄行政庁により、計画の性能向上計画認定を受けることができます。この認定を取得した場合、容積率特例(省エネ性能向上の設備は、通常の建築物の床面積を超える部分について不算入(上限10%))が適用されるメリットがあります。